インタビューINTERVIEW
世界の人口問題は、JPFPの設立当初、人口増を支える経済発展や経済支援が充実した議論を支えてきました。しかし人口増だけでなく、人口減にも起因する世界の多様な側面にも多くの解決すべきテーマが散見され、人口と経済のバランスだけでなく、幅広な議論が期待されるところです。
日本では高齢者人口が増加する中で、高齢者への様々な政策が取られてきましたが、一方で女性、子ども、障がい者、外国人の方々に対して、目配りが不十分だったり、デジタル化の遅れもあり適正な政策がタイムリーに実施できず、格差の拡大が続いています。
また新卒一括採用、年功序列型賃金制度や、男性は社会・女性は家庭といった分業構造など、日本型雇用システムの問題も顕在化しています。働く機会や賃金が、年齢や性で差別されない体制が重要です。20年前、私が社長を務めていた当時、働く意欲や能力のある人を、年齢・性差に関わらず職務内容に基づいて雇用するジョブ型雇用を他の企業に先駆けて導入し、成功しました。しかし現在でもまだ女性は、非正規かつサービス業の就労が多く、コロナ禍では失業が増加したり、収入が大幅に減少しており、早急な対応が必要となっています。
子どもの貧困も大きな問題であり、廃棄される食料が多い反面、経済的に厳しい状況にある多子世帯やひとり親家庭に対する経済支援が不十分です。また難民を含む外国人への労働環境の整備や、障がい者の就労支援が未だ十分に進んでおらず、大きな政治的課題となっています。
一方、中国に目を向ければ、人口増対策として覇権主義を強化し、領土の拡張と少数民族自治区への弾圧を強行し、少数民族の排除と漢民族の移住も推し進めています。また途上国への支援も、場をわきまえず返済能力を超えた過剰貸付を発生させたり、様々な問題が生じています。中国もやがて迎える人口減少・超高齢社会を前に、難しい対応を迫られています。
日本も新しい国づくりを目指し、高い理念と広い視野、長期的視点に基づいた大きな政治改革を進める必要があります。SDGsに掲げられている「誰一人取り残さない社会の実現」に向け、自民党司法制度調査会の会長代理として「司法制度調査会2021提言」を取りまとめ、基盤となる法整備、並びに必要な支援のためのきめ細かい施策を提言しました。
引き続き、誰もが幸せに暮らし、取り残さないための政策・制度をしっかりと考えていく必要があります。
取材日:2021年7月 ※肩書は当時