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インタビューINTERVIEW

新たな時代の構築のためにJPFPがこれまで築き上げてきた活動の中にヒントを見つけ、仲間の輪を広げ、新たな人口課題のアジェンダを設定し、活動を深めていきたいと考えています

衆議院議員
JPFP会長
上川 陽子 http://www.kamikawayoko.net/

2019年12月に、上川陽子衆議院議員・元法務大臣が国際人口問題議員懇談会(以下JPFP)の7代目会長に就任されました。本号では、上川新会長に、就任から半年余りが経過した現在の所感や、今後のJPFP活動の方向性、また自由民主党SDGs外交議員連盟会長としてこれまで携わってこられた「持続可能な開発」との関係などについてお伺いしました。(本号は抜粋版です。インタビュー全文は、アジア人口・開発協会(APDA)季刊広報誌『人口と開発』2020年秋号に掲載いたします。)

―本日は、上川会長がどのような方向を目指して、これからのJPFPを牽引していかれようとしているのか、忌憚ないところをお伺いしたいと思います。

上川会長 JPFPは1974年に設立された超党派の議員連盟です。初代会長は岸信介・元内閣総理大臣、2代目は福田赳夫 元内閣総理大臣、3代目は安倍晋太郎 元外務大臣、4代目は中山太郎 元外務大臣、5代目は福田康夫 元内閣総理大臣、6代目は谷垣禎一 元法務大臣と、日本の憲政史に名を刻まれた大先輩方が歴代会長を務めてこられました。

昨年12月、JPFPの7代目会長のお話をいただいた時、トップを女性議員にとの強いご期待があったと伺いました。政治家としてまだまだ未熟ではありますが、続く女性議員のためにもと考え、一大決心しお引き受けしました。国際社会における日本外交を牽引してきた歴史と伝統を誇る議員連盟です。世界的連帯による様々な難問の解決が求められている今日、新しいリーダーシップを発揮できるよう全力で取り組む決意です。

―JPFPが設立された1974年は、上川会長は大学生だった頃ですね。

上川会長 1974年といえば、私は大学で国際関係論を学んでいました。当時、ローマクラブによる警世の書、『成長の限界』が日本でも大きな話題になり、途上国を中心とした人口爆発が差し迫った脅威として実感されました。幾何級数的に増え続ける世界人口をどのように安定化させるのか。もしコントロールに失敗すれば地球上に平和で持続的な人類社会を構築することはできない。そのような危機意識から当JPFPも設立されたと聞いております。思い返せば、世界的視点に立って集う超党派の議員連盟など希少であった半世紀前の日本で、世界に先駆け「持続可能な開発」の実現を標榜したJPFPの設立。その狙いは、国民から選ばれた国会議員みずからが、政府や国際機関とは独立した立場と目線で国民の意見をくみ上げ、諸外国の議会人と直接連帯する議員外交を推し進めることでもありました。そのようなJPFPの先見性こそ、今後も大切にすべき私たちの行動指針と考えています。

―JPFP活動の中から、世界の人口と開発に関する議員活動が徐々に形作られていったわけですが、その点についてどのような思いを持たれますか。

上川会長 2015年に国連総会において、世界193ヶ国の合意の下、「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、SDGsの基本理念である「持続可能な開発」という概念は、国連の「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」が1987年に発行した最終報告書“Our Common Future”(邦題『地球の未来を守るために』)で提唱され有名になりました。WCEDは、ノルウェーのグロ・ハーレム・ブルントラント元首相が委員長を務められたことから、「ブルントラント委員会」として知られています。しかしWCEDの設立を働きかけ、資金を拠出し、具体的な取り組みを始めたのが日本であったことはあまり知られていません。JPFPの2代目会長であった福田赳夫 元総理が世界に働きかけ、WCEDが設立されたのです。その意味では、JPFPの活動がなければ、SDGsも誕生しなかったと言えるでしょう。

―これまでの半世紀と比べ、国際社会における日本の位置についてはどのように思われますか。

上川会長 これまで先人たちの努力で築き上げられてきたJPFP活動の理念や実績は、日本にとってかけがえのない資産であり、まさにこれは外交のソフトパワーです。ODAの減額や新興国の経済台頭等がありますが、日本のソフトパワーは存在感を増しています。そして日本が国際的にこれだけの貢献をしてきたことを、国民の皆様にも広く知っていただくよう努めてまいります。

今は厳しい状況にありますが、困難の中で希望を見出すことは政治家本来の役割です。アランという哲学者が、「悲観は気分の問題だが、楽観は意志の問題だ」と述べています。悪い側面にとらわれるのではなく、課題にまっすぐ向き合い、解決への道筋を描きながら、希望をもって具体的な行動をすることこそ政治の仕事と考えます。政治がそのような姿勢を失わない限り、希望を作り出し、よりよい社会を作り出せるのではないでしょうか。

―希望ある社会を作り出すために、最後に一言お願いします。

上川会長 日本は人類史上経験したことのない少子高齢化による人口減少に直面し、私たち一人ひとりを取り巻く状況も厳しさを増しています。だからこそ、今ほど「他者とともにあることの有り難さ」を実感できる時代もないのではないでしょうか。スマトラ沖大地震でも、その後の東日本大震災大津波でも、世界中から被災者に多くの励ましや支援が寄せられました。さらに今年に入り、人類にとって未知の新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、ワクチンや治療薬の開発、治療方法の確立、関連情報の共有化等、あらゆる英知の結集が求められています。

世界規模で助け合い、支え合うことが何よりも必要な時代なのです。世界規模の助け合いという点では、議員活動の在り方も変化してきています。すなわち、日本の経験を途上国に伝えることが求められた時代から、途上国も含め、各国政府や企業、市民社会とパートナーシップを組み、叡智を持ち寄ってSDGsのゴール17の達成を目指す。そうした中で私たちとしては、新たな時代の構築のためにJPFPがこれまで築き上げてきた活動の中にヒントを見つけ、仲間の輪を広げ、新たな人口課題のアジェンダを設定し、活動を深めていきたいと考えています。そのためには、JPFPの会員の皆さんの積極的な関わりが不可欠です。JPFPのこれまでの活動とこれからを多くの皆さんに十分なご理解とご支援をいただけるよう、地道な政策対話を重ね、具体的行動に繋げていくことをお約束いたします。

―上川先生、本日は誠にありがとうございました。

取材日:2020年8月 ※肩書は当時

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