インタビューINTERVIEW
高齢者の定義を変え、価値観の転換が図れれば、「長寿化は喜ばしく幸せなことである」という本来の意味を取り戻せると思います
参議院議員JPFP副事務総長 石田 昌宏 https://www.masahiro-ishida.com/
新型コロナウイルスの感染拡大で、医療従事者の負担が増大していますが、元々、他の国々に比べて日本は人口に対する看護師・医師等の数が少なく、それでも全国どこででも、それほど高くない料金で診察を受けられるのは、ひとえに看護師・医師等の献身によるものです。こうした状況の改善に取り組んでいますが、そのためには復職しやすい仕組みづくり、病院の経営の安定、また看護学生の数を確保することが重要です。
実は、看護師・医師の数自体は増加しているのですが、高齢化の進展もあり、業務がさらに増えています。それに加え、このコロナ禍で、人手・物資の不足、不当な偏見という問題にも直面しています。一方で、医療従事者に向けた人々の温かい言葉も届いています。
このような中で今年、全国の高校生を対象とした調査で、女子高生のなりたい職業の1位が「看護師」となったという、嬉しいニュースもありました。
日本の高齢化が進む中、年齢で区切る高齢者の定義を変えることが必要だと考えています。この定義は、国際連合が、1956年に発表した「65歳以上の人口が全人口の7%を超えると高齢化社会とする」という見解に基づいていますが、当時の日本の男性の平均寿命は64歳前後でした。それから50年以上が経ち、日本の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳となり、この定義が現状にそぐわなくなっています。
そこで、「高齢者」を年齢で区切るのではなく、介護や支援の必要性といった視点で考える、という提案をしています。65歳を過ぎても、健康で、働く意欲のある方は数多くいます。企業も、一定の労働時間でなければ正社員ではない、という従来の考え方を変え、ジョブ型雇用として仕事をタスクごとに分けて、年齢に関わらず働きたい人々が、それぞれに合った働き方ができる環境を整備することが重要だと思います。
高齢者の定義を変え、価値観の転換が図れれば、高齢化は決して悲観すべきことではなく、「長寿化は喜ばしく幸せなことである」という本来の意味を取り戻せると思います。こうした考えを皆様に広くお伝えし、大きな変革が日本から始まればと思っています。
取材日:2020年9月 ※肩書は当時