インタビューINTERVIEW
アフリカの問題に長年取り組んでいますが、一番大事なのは貧困の撲滅、きちんと食事が摂れること、衛生的な水が手に入ること、そして教育だと思います。
日本の様々な国際協力の中でも、具体的な支援にJICA海外青年協力隊事業があります。協力隊の方々は現地の方々と一緒になって、途上国の抱える課題の解決に取り組んでおり、私も現地訪問も含め、活動を応援しています。そうした活動は大海の一滴のように見えるかもしれませんが、農村開発、母子保健など、草の根の技術支援は、現地の人々から非常に感謝されています。
例えば、日本からの農業技術の移転によって、乾季と雨季で違う作物を育てたり、畝を作るという工夫で、収量を増やし、生活水準の改善につなげることができます。またガーナには、日本政府の支援で設立された「野口記念医学研究所」があり、日本で勉強した研究者らが、これまで培った技術や設備を活かして、現在、新型コロナウイルス対策の拠点として機能しています。
たしかに、日本国内も大変なのに国際協力をする必要はあるのか、という声もあります。ただ、はるかに厳しい状況を現地で目の当たりにし、同じ空の下で生を受けたものとして、少しでも皆が豊かになるように手を差し伸べる、そうした「思いやり」、「まごころ」が大切ではないでしょうか。自分が援助を受ける側だったら、援助をする側だったら、というように、相手の立場に立って行動する、そういう行動の基本が日本の国際協力にはあると思っています。
地元の北九州市は人口減少に直面しています。以前は四大工業地域として日本の産業発展を支えていましたが、産業の縮小傾向の中、以前105万人だった人口が、現在95万人、これからまだまだ減少するでしょう。現在、洋上風力発電事業を政府とともに進めていますが、これは雇用の創出につながることが期待されます。重厚長大の基盤を利用するだけでなく、IT活用による産業創出など、柔軟な対応を考えていくことが重要だと考えています。
取材日:2020年9月 ※肩書は当時