APDA 公益財団法人アジア人口・開発協会APDA 公益財団法人アジア人口・開発協会

インタビューINTERVIEW

人口分野におけるイニシアティブは日本から始まり、JPFPは、世界にネットワークがある、おそらく唯一の議連です。

元法務大臣
APDA副理事長・前JPFP会長
谷垣 禎一

―本日はお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。まずは、人口問題に関わるようになったきっかけについてお聞かせ下さい。

谷垣 前会長 元々、ユニセフ議員連盟の会長を長年務めていたこともあり、途上国の問題や国際協力に強い関心を寄せていました。福田康夫 元JPFP会長(第5代会長)からお話をいただき、このJPFPの活動にも携わるようになりました。

人口問題の解決を通じた持続的な開発の達成を使命とするJPFPと、世界の児童の救済を使命とするユニセフ議連とは、切り口は異なりますが、多くの共通点があります。Eニュースレターで、他の議員の方々も強調されていましたが、やはり大切なことは、まず食料が確保され、栄養がきちんと摂れること。2つ目に医療体制と衛生環境を整えること。これにはきれいで安全な水が利用でき、トイレの設備がきちんとしていることも含まれます。3つ目は、教育が受けられることです。「食料・栄養」、「医療・衛生」、「教育」が、持続可能な開発における重要な3つの柱だと思います。

ユニセフの年次報告書の巻末に、乳幼児死亡率、識字率、GDP等のデータが掲載されていたのですが、そうした数字が悪い国の実情が気にかかり、自分の目で見てみようと、アジアを中心に様々な国を訪れました。その一つに、1980年代のドイモイが始まったころのベトナムがあります。その当時、ベトナムはアジアで最貧国の一つでした。今では信じられませんよね。ただ当時でも、識字率は国民平均で90%を超えており、その高さに非常に驚きました。

ベトナムもかつて中国に倣って科挙を実施しており、文廟の石碑に科挙の合格者の名前が刻まれていたのが印象的でした。何百年も前に掘られたものもあり、大変な名誉だったこと、そして教育に非常に力を入れていたことを窺い知ることができました。ベトナムは、フランスや中国、米国との戦争を経験しながらも、教育を疎かにすることはありませんでした。今日のベトナムの発展は、そうした教育を重視した結果だと思います。

―JPFPは46年の歴史の中で、人口分野で先導的役割を果たしてきました。その意義をどのように感じていらっしゃいますか?

谷垣 前会長 JPFPと人口問題への取り組みは、岸信介先生(初代会長、1974~1979年)、福田赳夫先生(第2代会長、1979~1990年)に始まり、JPFP設立を支援したウィリアム・ドレーパー将軍や、続く歴代の会長、役員、並びにメンバーの先生方が、非常に大きな努力を払われてきました。他の議連からも、JPFPがこれほど長く、活発に活動できるのはなぜか、と尋ねられたことがあります。このJPFPの素晴らしい点は、各地域、各国との連携があるところだと思います。こうした横のつながりがあるのは、強いですよね。こうした世界的な連携をつくり、維持されてきた先輩議員のひとかたならぬ努力の結果、政権が変わっても、継続的にこの問題に取り組むことができたのだと思います。

―人口分野で日本が果たしてきた役割に対し、折にふれ、海外議員からも多くの感謝の言葉が寄せられています。

谷垣 前会長 日本政府は「人間の安全保障」という理念の下、国際協力を進めてきました。これもベトナムの例ですが、名古屋大学が中心となって法整備支援を行っています。話を聞くと、「日本は現地の人々の声に耳を傾けて支援してくれる」と言って下さいます。

現地の人々の主体性を尊重する「オーナーシップ」を含めた「人間の安全保障」と、JPFPの人口問題への取り組みは、軌を一にしています。新型コロナウイルスの世界的流行をはじめ、様々な課題に直面する今日、この概念はますます重要性を増していると思います。また、国家間の対立や、それぞれの国における緊張や社会不安について見聞きするたび、他者への敬意や寛容の精神が、非常に大きな意味を持つと感じています。

―コロナが社会・経済に大きな影響を与えていますが、これから日本の社会がより良い方向に進むためには、どのようなことが重要だと思われますか?

谷垣 前会長 コロナがもたらした問題は非常に大きく、感染症は制圧したけれども、人々の日々の暮らしが崩壊した、ということでは何にもなりません。人々の生活をしっかりと維持した上で、感染症を抑えていく、という両面への対処が必要となっています。経済政策をより重視している国、経済活動を制限してでも厳しい感染防止措置をとっている国、と各国の対応も様々です。現時点ではどの策が最も有効なのか、まだ答えは出ていません。今後1~2年経って明らかになることでしょう。

日本の国土開発・利用に関して、全国総合開発計画という、総合的かつ基本的な計画があり、重要なテーマとして話し合われてきました。日本の経済はかつてほどダイナミックではなく、人口も減少している中で、働き方改革や地方創生とあわせて議論していくことが必要だと思います。「里山資本主義」という言葉もありますが、ライフスタイルの多様性や地域活性化のアイディアなどの可能性があると思います。

―最後に、JPFPに向けてメッセージをいただけますでしょうか?

谷垣 前会長 このJPFPの活動、そして人口分野における日本のイニシアティブは、国際的にも認められていると思います。日本から始まり、世界にネットワークがある、おそらく唯一の議連です。これは世界に誇れることだと思います。

今後も国内外で困難な状況が続くことが予想され、この重要な問題への取り組みを継続していくことは、簡単なことではないかもしれません。上川陽子会長の下で与野党協力して、ぜひ次の世代にも引き継いでいっていただきたいと思います。

― 本日は誠にありがとうございました。

取材日:2020年11月 ※肩書は当時

PAGE TOP