AFPPD/APDA/JPFP G7広島サミットに向けた世界⼈⼝開発議員会議を開催
2023.4.25-26 日本・東京人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)、公益財団法人アジア人口・開発協会(APDA)、国際人口問題議員懇談会(JPFP)は、4月25、26日両日東京で、「2023年G7広島サミットに向けた世界人口開発議員会議(GCPPD2023)」を開催しました。新型コロナのパンデミック、武力紛争、政治的対立、環境危機などの諸問題が、グローバルヘルス、人間の安全保障、経済低迷に与えている影響を鑑み、会議では国会議員が自らの果たすべき役割を確認し、具体的な対応策について国際機関、政府、企業、市民社会の代表とともに議論を深め、G7及びG20に向けた「宣言」を採択しました。宣言は、G7広島サミット議長を務める岸田文雄 内閣総理大臣に提出されました。
開会式は武見敬三AFPPD 議長が進行を務めました。まず最初に、福田康夫 元内閣総理大臣・APDA理事長が主催者として挨拶を行い、参加国会議員に対して、今日の世界情勢において分断ではなく融和への道を探り、またこれからの時代に必要とされる「開発」について議論をしてほしいと呼びかけました。
林芳正 外務大臣は挨拶の中で、今回のG7議長国である日本は、戦後、人口増加や貧困という課題を主に保健推進政策や雇用政策によって乗り越えながら経済成長を達成してきた経験や教訓を、各国に対して積極的に共有し、課題解決に貢献していくことを強調しました。また、イアン・マクファーレン国連人口基金(UNFPA)広報・戦略的パートナーシップ局長が後援機関を代表し、アブデルハディ・エルカサビー議員(エジプト)、並びにフレドリック・オウタ鉱業・ブルーエコノミー・海事省長官(ケニア)・人口と開発に関するアフリカ議員フォーラム(FPA)副議長は、それぞれの地域を代表し、挨拶を行いました。最後に、細田博之 衆議院議長が本会議の問題解決への貢献に期待を寄せ、開会を宣言しました。
基調講演セッションでは、進行役の上川陽子JPFP会長より、JPFPは今後も危機的課題に人口・開発の視点からアプローチし、具体的なアウトプットにつなげていきたいとの意欲が示されました。岸田文雄 日本国内閣総理大臣は、国際社会は2030年を達成期限とする持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、変革の実現に向けて取り組みを加速させなければならないと述べ、達成に向けては人口の観点を取り入れることが不可欠であるという本会議の重要性を共有しました。
セッション1「人口80億人の世界と今後の展望」では、人口増加、人口移動、環境、グローバルヘルスといった多様な切り口から人口問題を取り上げ、対応策を議論し、逢沢一郎 JPFP会長代行がセッション議長を務めました。セッション2「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス /ライツ(SRHR)の推進と紛争地におけるジェンダーに基づく暴力(GBV)の防止」では、新型コロナのパンデミックにより浮き彫りになったジェンダーの格差、GBVと紛争に関する調査、アフガニスタン前議員の生の声などをもとに、全ての女性と少女の健康な生活と幸福を促進するための国会議員の役割が検討されました。
セッション3では、「若者への投資:人口ボーナスと雇用機会の創出」をテーマに、若者が直面する課題やニーズへの対応など、各国がとるべきアプローチについて検討を行いました。宮路拓馬 衆議院議員は日本の若者の雇用情勢と雇用対策について講演を行い、高い関心を呼びました。セッション4「高齢化と健康寿命」では、今後数多くの国が高齢化を迎える未来を見据え、高齢者が健康で生産的かつ尊厳のある生活をおくり、第2の人口ボーナスとして経済・社会発展を実現するための方策を検討しました。高齢化が進む韓国、タイ、ベトナムの経験に加え、日本製薬工業協会(JPMA)、並びにサノフィ株式会社の具体的な取り組みが共有されました。
翌26日のセッション5「ポストコロナにおけるICPD25公約及び2030アジェンダ達成のための国会議員ネットワークの役割」では、アジア、アフリカ、アラブ、ヨーロッパの国会議員が、日本信託基金(JTF)が支援する人口・開発に関する国会議員ネットワークをはじめ、様々な議員ネットワークの重要性を強調しました。末松義規 衆議院議員は講演において、国境を超える様々な課題に対処するために、国会議員ネットワークの役割は重要性を増していると述べ、日本は議員間のネットワーク、そして様々なステークホルダーとのパートナーシップを推進していくことを示しました。 セッション6「国会議員宣言の採択」では、武見敬三AFPPD議長がセッション議長を務め、熱心な討議の末、宣言が採択されました。(イランは採択を留保。)
閉会式では、黄川田仁志JPFP事務総長の進行により、アルバロ・ベルメホ国際家族計画連盟(IPPF)事務局長、リア・クアタペレ・プロコピオ議員(イタリア)、クラウス・ベックUNFPA APRO副地域事務所長代行が挨拶を行いました。続いて、加藤勝信 厚生労働大臣からは、本会議の議論を踏まえ、特にG7広島サミットにおいても重要課題の一つとして位置づけられる保健及び労働をめぐる国際的な問題について触れ、国際的な協力の必要性を述べました。最後に、武見敬三AFPPD議長は、共通の課題解決に必要なより良い協力体制には、コミットメントの効果的な実施と、それに対する説明責任が重要であることを改めて確認し、今後も議員ネットワークを発展させていく決意と参加者への感謝の意を述べ、会議を締めくくりました。
GCPPD2023には、外務省、UNFPA、JTF、一般社団法人日本経済団体連合会の後援、並びにIPPFの協力を得て開催され、32カ国からの参加者、延べ150名以上が参加しました。
■GCPPD2023会議サイト
http://afppd.net/GCPPD/index.html